スイスチーズモデルと安全管理の考え方 プルージックを契機に

著者:宇山昭彦


2010年頃に、アリゾナでRopes That Rescueのリードさんにロープレスキューの指導を受けているときに、机上講習でのスライドショー解説の合間にリードさんがフォワイトボードにスイスチーズを何枚か重ねたイラストを記載していました。これは、事故発生まで至るプロセスを図示したメタファーです。



その時の私の理解は、穴があると事故につながることを単に図示していているのだな、トムとジェリーの生まれた国でチーズには穴があるからそんなことを言っているのだな。

「フーン」というレベルのものでした。

あれから10数年が経ち、色々な経験やまた安全管理について勉強を重ねると、スイスチーズモデルはリードさんが考え出したものではなく、英国の心理学者であるジェームズ・リーズンがHuman error: models and managementで提唱した、事故やリスクを多層的な防護壁(スライスチーズ)で防ぐことが安全につながるが、但し、その防護壁にはいくつかの弱点(穴)があり、これら防御壁を不幸にもすり抜けたときに、事故が発生するメカニズムをメタファーで説明する安全管理や事故発生のメカニズムの描写であることを理解しました。

最近では、レスキュー3の3日間のコースであるRRO(ロープレスキューオペレーターコース)やレスキュージャパンのオリジナルであるツーテンションシステム講習でこの概念を紹介し参加者の皆様への事故防止や安全管理の一助になるように努めております。

ユーチューブショートで以下の動画を上げていますが、安全管理としてまずはプルージックが固くなるから交換という第一義的な話しとスイスチーズモデルをあてはめた、システムに対する防御壁を如何に張り巡らせるか、また張り巡らせた防御壁にどんな穴が発生しやすくそれをどう防ぐか?など考える機会にしていただければ幸いです。





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