バタフライノット 3つの方法を写真付で解説|レスキュージャパン


バタフライノット(蝶結び)について説明します。

バタフライノットは、別名アルパインバタフライとも呼ばれ、日本語訳は、「蝶結び」と呼ばれます。バタフライや蝶の名前は完成した形が、「蝶」のような形に見えることが理由となっています。

この結びは、ロープの中間点でノット(結び目)を作りたいときに利用されます。代替的な方法に、ディレクショナルナルフィギアエイト(方向性の8の字結び)がありますが、ディレクショナルナルエイトは、引っ張られるべき向きが決まっていますが、バタフライノットは左右どちらに引っ張られてもよいというメリットがあります。

レスキューやクライミングはもとより、アウトドアではキャンプの時などに物を吊るすときによく用いられます。


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目次

①3種類の結び方”

②レスキューへの適用事例とバタフライノットのメリット

③バタフライノットの注意点(解きにくくなる状況)
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①3種類の結び方


まずは3つの結び方を写真を添えて解説します。

●1つ目の方法

ロープの中間に支点を取りたい時に、使いやすい結び方です。
手にまず左端、そして右端、最後に真ん中の順番でロープを巻きつけます。



そして最後に、一番右側のロープ(指先側)のロープを15cmほど伸ばし、手首側にある一番左側方へ持っていきます。


そして最後は、残っている2本の下から、すなわち左、真ん中のロープを通します。




●2つ目の方法

ロープに傷があるなど、その部分に荷重を掛けないようにする際の蝶結び

輪の先に傷が付いている場合などに、狙った場所にバタフライノットを結び、ロープにテンションがかからないようにして、応急的にそのままロープをレスキュー活動に使うことができます。

このやり方は、ロープをまずは2回同じ方向にねじり




奥に回し下から手前に回して真ん中の輪に通します。イメージとしては奥に倒して



そして自分側(手前側)から抜くようなイメージです。

写真のように通します。




●3つ目の方法


荷重が掛かる際に、結び目を後で解く場合に棒状の様なものを挟む場合に有効な結び方です。基本的に、バタフライノットは荷重がかかっても解けにくくなることはないですが、荷重が結び目に片効きで掛かった場合にほどけにくくなります。

大きな力がかかることが予想される場合には、あらかじめトグルと呼ばれる棒状の物体を挟みんでおくとバタフライノットがほどきやすくなります。

ロープを親指を下にして両手で持ちます。



そして手首をひねって、親指を上にします。
輪が2つ出来ます。写真のように輪から出るロープが交差するようにして下さい。


そして、左の輪の下のロープを左の輪にくぐらせます。


以下の写真のような形にします。


そして右の輪を、左の輪の上に束ねて


一番右に残った輪を用いて、トグルを挟み込みつつくぐらせます。




写真のようにロープエンドが2本平行に流れ出ていれば正解です。



②レスキューへの適用事例とバタフライノットのメリット


ロープレスキューへの適用事例ですが、このノットはロープの中間点に結ぶ方法であることから、まずは担架に結わえつけるときに使用します。

バタフライノットの代替方法は各種あり

 1. ディレクショナルフギィヤエイト(ダイレクショナルエイト、方向性の8の字)
 
 2. もやい結び

 3. メインロープとビレーロープを2本束ねるダブルロングテールボーライン

 4. 2本のロープを絡ませる、インターロッキングボーライン

などがあります。

担架に結びつける以外の使い方は、結び方の2つ目であげた、ロープの1部に不具合が発生した場合に、ロープを取り換える手間や時間をカットするために、そこにテンションをかけずにバタフライノットで応急処置をする場合や複数ポイントのアンカーをロープで作成する場合に、バタフライノットを用いることがあります。


③バタフライノットの注意点

担架の上げ下げで200キロ程度の力がかかるだけなら、バタフライノットは問題なく解けるのですが、結び方の③で示したように、レスキューの展張線として用いて800キロほどの大きな力がかかる場合には解きにくくなります。

その他、バタフライノットの片方だけに大きな力がかかり片効きが発生してしまうと解きづらくなります。

最後に、ロープレスキューでもっとも考えられるケースですが、担架に要救助者が乗っていて救助者がエッジ超えをする場合に、エッジの角にバタフライノットが乗り越えるときに、ノットが締め付けられるような力がかかります、この時バタフライノットに締まるような力がかかるので解きづらくなります。

このようなエッジではバタフライノットでなく、もやい(ボーライン)で担架を結わえることが最も簡単なソリューションです。

その他の情報

バタフライノットの強度について

よろしければ上記の強度についてもご確認ください。

NFPA2500 レスキューへの意図(3つの規格の統合NFPA1983、1858、1670)

いつ来るか、いつ現れるかと思っていたNFPA2500

やっと現れました。それが以下の写真です。
新型のロープレスキュー資器材のキャプト
キャプトの裏面に記載がありました。


NFPA2500と表記された写真


但し、表記をみるとNFPA2500 だけでなく(1983)の文字もあります。


NFPA2500 が既存の3つの規格である、1670と1858と1983が統合されたものであることが明確に示されていると感じました。



この表記を見るまでは、てっきり次のものからNFPA2500の単独の文字表記のものが現れてくると私は思っていました。

ここで3つの規格について簡単に述べます。




NFPA1670  

レスキューとテクニカルサーチのためのオペレーションとトレーニングの規格





NFPA1858

緊急対応組織のためのライフセーフティロープや機材のメンテナンスやケアの規格



NFPA1983

緊急対応組織のためのライフセーフティロープと機材の規格



これら3つの規格が統合されてNFPA2500 となりました。



「これら3つの基準を統合することにより、NFPA 2500は技術的な捜索および救助作戦のすべての側面をカバーする包括的な枠組みを提供し、関連する人員の訓練、必要な機器の選択、メンテナンス、および使用を含みます。」

言われてみれば、ロープや資器材の規格とそのメンテナンス、そしてオペレーションや訓練は、三位一体そうだなと思います。

少なくとも、ギア類のNFPA1983とメンテナンスのNFPA1858はセットであることは誰も異論はないと思います。

ハードとソフトを融合させて救助活動の一連の動きが洗練されてまた安全性の向上がなされるように統合されたということがイメージ出来ます。

なお、NFPAに関連する項目でよくある誤解について以下の記事で記載しています。

興味のある方はこちらもご確認ください。

NFPA1983GユースとTユースの誤解

ロープレスキューでのアンカーマネジメント(支点作成の考察)

しばらく前に、アンガーマネジメントという言葉が流行りましたが、ロープレスキューでは、アンガー(怒り)もさるころながら、アンカー(支点)のマネジメントが重要です。
 

今回は、以下の写真をもとにアンカーのセッティングについて検討したいと思います。
 

 

写真は、俗に言うボムプルーフアンカーです。ボムと略称で呼ばれることもあります。

 

正確な定義はありませんが、ボム(爆弾)を投げても壊れないくらいの丈夫なアンカーで、それくらい強いものであれば、メインとビレーの2つを一つのアンカーにかけても大丈夫という位置づけで使用されます。

 

そのボムプルーフアンカーのセッティングですが、

私の好みは、写真の通りのセットです。 

ビレーは操作しやすいように腰高にセットします。

自確は、ビレー等の操作の邪魔にならないように一番下へ。
      

メインは、万一の破断で、プーリーが飛んで来ても大丈夫なように太もも下へ。
 

状況はもちろん、好みもあるので一概には言えないところもありますが・・・

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