簡単!もやい結びの写真と動画によるわかりやすい解説




もやい結びの知識

もやい結びはロープワークの基本中の基本として広く知られている結び方で、多様な用途に活用されます。結び目の王様(キングオブノット)と呼ばれています。

また、別名で、ボーライン、ブーリンとも呼ばれます。ボーラインは、Bowlineと記載しBowは英語で船首のことを意味し船をロープで結わえるところが由来となっています。

余談ですが単独だと、Bow(バウ)と発音し、Line が加わるとBowline(ボーライン)と発音され呼ばれることになりますが、私が長年行っているアウトドアのラフティングの世界では、Bow Lineのことはボーラインと呼ばれずに、バウラインと発音されています。

それはさておき、もやい結びの特性として、しっかりと固定されるが簡単に解くことができるという点が挙げられます。この特性が多くの場面での実用性を高めています。

但し、後ほどリング荷重とその対処法を解説しますが、使い方を間違うとこの簡単にほどけることがアダとなりクライミングなどでは事故が発生しています

具体的な用途

1. 船舶・ボートの係留

もやい結びは、名前の由来の通り、船舶やボートを岸や桟橋に固定する際によく使われます。この結び方を使えば、ロープが滑らずしっかり固定される一方、解きたいときには力を入れずに簡単に解くことができます。船の揺れやテンションの変化にも対応するため、船の作業に欠かせません。荷重は重くないですが、ラフティングボートやいかだをくくるときにも使います。

2. 登山やアウトドアでの活用

登山やキャンプの現場でももやい結びは大活躍します。特に、次のような用途があります.

テント設営や荷物の固定
テントやタープをロープを用いて木やペグに固定するときに使います。しっかりと結べるため強風時でも簡単に外れることがありません。そのほかにもランタンやライトを木につるしたいときや、ハンモックを括り付けたい時などに重宝します。

3. 災害救助や緊急時の活用

緊急時にもやい結びは命をつなぐ結び方として知られています。例えば:

ロープでの支点確保
クライミングやロープレスキューでロープを固定する際、さっと早く結べて解きやすいことから使用されますがありますが、後述のように末端処理は必ず行うようにしてください。リング荷重で事故が発生しています。

ネット検索すると、安全性が高い結び方であると出で来ることもありますが、ある意味正しく、ある意味それは間違いです。

救助活動


高所作業や救助活動で人を安全に引き上げたり、固定したりする際に用いられます。消防の3つ打ち救助でも多用されますが、末端処理は必ず行われています。


応急処置

物を吊るして固定したり、傷病者を固定して搬送する際にも使われます。

4. 日常生活での活用

アウトドアだけでなく、日常生活でももやい結びは役立ちます。例えば、引っ越しや荷物の搬送時に荷物を固定する際や、庭仕事で道具を吊るすときなど、手軽に使える結び方として重宝されています。

もやい結びを習得するメリット

もやい結びは一度覚えれば簡単にでき、さまざまなシチュエーションで活用できる汎用性の高い結び方です。初心者にも習得しやすい反面、経験を積むことでさらに多様な応用が可能になります。アウトドアや緊急時だけでなく、普段の生活においてもその便利さを感じることができるでしょう。

もやい結びを習得し、何が危険か理解しそして正しく使うことで安全で快適な生活を楽しみましょう!


簡単に覚えれる もやい結びを写真で解説

最初に、以下の完成形を確認してください。



1.まず最初にループを作ります。

ループの作り方は、写真のように結びつけるエンド(ランニングエンドと呼ばれる)が上になるループを作成してください。

エンドが上に来る、数字の6をまず作ると覚えてもよいと思います。

初心者はもちろん向きや結ぶ方法が変わったときなどに熟練者でもループの作り方を間違え混乱して間違えてしまうのは、このループの作り方の向きになります。ここが第一のポイントとなります。

エンドが上にくる数字の6を作る

2. 次に作成したループにエンドを下から上に通してください。


ここでは、必ずループの下から上に通すようにして下さい。この通し方の向きを間違えることが混乱するポイントの2つ目です、写真のように下から上に通します。上から下に通すと結べなくなります。

輪に通す 下から上 向きを間違えない

3. そして手元のエンドの下に通します。



手元の側のエンド(主ロープまたはスタンディングエンドと呼ばれます。)の下に、ロープを通してください。

手元側のエンドに下に

4. そしてループに戻ります。



以下の写真のようにループに戻りますが、ループに戻ることをわかりやすく表現するために、次のように表現されることもあります。覚え方にもなっています。

もやい結びの覚え方のフレーズ その1


池(ループ)から蛇(エンド)が出てきて、木(手元のロープ)に絡みつき、そして池に戻る。

もやい結びの覚え方のフレーズ その2

もしくは、上、下、下、上。

エンドが上に来る数字の6を作る (上)

ループにエンドを下から上に通す(下)

手元のロープの下を通す(下)

そして、作成したループに上から通す(上)

5. 締め付けて完成です.

締め付け方は、以下のようにするのがコツです。


一連の内容を動画にまとめています.


もやい結びの動画  1


もやい結びの動画 2


以下の動画は、もやい結びが出来るようになったときに補足情報としてご覧ください。

動画の目次

0:00 実演:もやい結び
0:39 リング荷重とは
0:57 端末処理1(ダブルオーバーハンド)
1:42 端末処理2(変形もやい)





もやい結びのほどき方のコツ

もやい結びはほどけやすいノットなので簡単にほどくことができますが、締まってしまいうまくほどけないときは次を試してみてください。

①エンドロープをループ方向に戻すように送り込んで全体の加重を緩める

②主ロープをループ方向に押し込んでループを大きくし全体の荷重を緩める

③ノットに衝撃を与えてみて全体の荷重を緩めてみる

④もやい結びの結び目を、もみほぐす


もやい結びが不意にほどける

但し、クライミングで事故が多発したため、アウトドアの世界ではもやい結びは使ってはだめな結び方を言われることが多いです。

それがもやい結びの輪の中に荷重をかけるリング荷重と言われるものです。


リング荷重について詳しく


写真のようにもやい結びにリング荷重をかけるといとも簡単にほどけてしまいます。

これがアウトドアでもやい結びを使用してはいけないと言われていた理由です。

ではもやい結びの代わりに、どのような結びが使われているかというと、それはフィギアエイトフォロースルーです。




完成形は、フィギアエイトと同じですが結び方が、シンプルエイトを作ったあとに、追いかけて通すところから、フォロースルーという名前がついています。

もやいの欠点は、上記に述べた通りですが、

それ以上にロープレスキューで使うときに有効な利点があります。

それは、大きなテンションが掛かっても簡単にほどくことが出来ることです。

バタフライノットでの片利きが発生するとロープをほどくことが出来ません。

また、フィギアナインはほどきやすいノットだと言われますが、以下のショート動画の通りほどくことは困難になります。


よって、もやい結びのメリットを十分に活用しつつ、欠点であるリング荷重による意図せず解ける現象を回避するために、もやい結びのロープの端末を必ず端末処理をしてください。

詳しくは、動画の中で解説しています。内容は、もやい結びの方法、リング荷重とは、そして2種類の末端処理の方法です。

皆さまの安全な活動にお役に立て頂ければ幸いです。

もやい結びのバリエーションについて

①外もやい結び

通常のもやい結びとは違いエンドラインがループの外側に出てくる結び方です。外もやいに比べて通常のもやい結びが内もやいと呼ばれることもあります。英語ではwinter bowlineとも呼ばれます。エンドラインをループの外側に逃がすことで冬の寒い日でもエンドラインとループ部分が氷固まらないようにするためです。(諸説あり)

②引き解けもやい結び

最後にエンドラインをループに通すときにエンドラインをUの字にして入れることで、引き解け結びにします。簡単にほどくことができるので便利です。

③二重もやいむすび

ループの部分をたんに二重にしたもやい結びです。普通のもやい結びに比べれば強度は上がります。

④巻きもやい結び

ループの部分を巻き結びにしたもやい結びです。普通のもやい結びに比べて強度が強く、とくにロープが水にぬれてノットが滑りやすいコンディションでも強さを発揮します。英語ではwater bowlineといった呼ばれ方もします。

様々なもやい結びがありますが通常のもやい結びをマスターしてから応用なものに挑戦していきましょう。それぞれのメリットを理解し生かすことができれば立派なロープマスターになれることでしょう。





動画でも解説していますが、ブログで内容も投稿してますのでご覧ください↓

もやい結びの末端処理 その1

もやい結びの末端処理 その2

クラッチの裏の4つのマークについて

元祖マルチパーパスデバイスは、MPDですが、現在、もっとも人気と言っても過言ではないマルチパーパスデバイスは、クラッチです。

マルチパーパスデバイスとは、1台で3役、下降器、ビレー器具、倍力時のプーリーとしての役目を担う道具です。

クラッチ商品ページ(性能等こちらでご確認ください)

いままでは、ブレーキバーを降ろしでは下降器として使い、タンデムプルージックをビレー器具として使い、倍力時にはブレーキバーを外してプーリーに付け替えたりしていました。その状況に応じた役割をマルチパーパスデバイスは一挙に解消してくれました。

クラッチがマルチパーパスデバイスでもっとも人気と言っても過言でない理由は、その使いやすさです。MPDはレバー操作に少し癖があるのですが、クラッチは操作感が容易であること、2テンションシステムでのダブルクラッチとして、一人で2つのロープを操作できることも出来ます。

これらの点については、レスキュージャパンyoutubeチャンネルでアップ(クラッチの紹介とセッティング)していますが、今回は、クラッチに関する以下の質問を受けたのでそれに回答いたします。

Q. CMCのクラッチついて、クラッチの裏に書いてある4つのマークはどのような意味で具体的にどのような時に使用するのでしょうか?



A. クラッチの裏の記載について回答いたします。


器具の裏には、矢印マークとそれに連動する、 STOP、STANBY、ANTIPANIC、RELEASEの4つの文字があります。

クラッチのレバーを回すと矢印が指し示す4つの文字が動き、その文字が器具の操作を表します。

STOP(ストップ)→ 文字通りストップでロープの送り出しを止めます。そして作業姿勢の前段階の仮固定を行うポジションとなります。なお、作業姿勢である本固定は、ロープをくくりつけして固定します。


STANBY(スタンバイ)→ こちらも英語の意味通り、スタンバイは準備、待機なので、ストップの状態から少しレバーを引いて降下前の待機または準備状態の時の位置になります。

RELEASE(リリース)→ 緩めるとき、つまり懸垂降下での降下時や上部制動での荷下ろしの時に使います。

ANTIPANIC(アンチパニック)→パニック防止、操作ミス防止のためにあり、間違ってレバーを引いてしまうと、カチッという音とともにロープの送り出しが止まります。


また、レバーの位置については、以下の質問も講習会実施時によく頂きます。

Q 倍力システム設定時、引揚時はスタンバイでよろしいですか?スタンバイ~リリースの間はいつ使用しますか?

滑車を用いた倍力、つまりメカニカルアドバンテージシステムを用いて引き揚げる時は、レバーをスタンバイから少し引いた位置からまたリリースの間にしてください。


講習会では、レバーの位置をより細かく、時計の針でいうところの12時つまりロープと同じ流れで邪魔にならない位置にすることをお勧めしています。

「水中の障害物:ストレーナー」動画を公開中




水中での活動は水の流れに左右されます。


流された木や人工物等の残骸が水の中に進入すれば、活動中の下流への移動に深刻な危険をもたらす可能性があります。


今回はストレーナーについて紹介します。


スイフトウォーターテクニシャンコースでは実際にストレーナーを超えて移動する体験を行います。


訓練の中で実際に体験し、乗り越え方を学んでみてください。


https://www.rescue-japan.com/SHOP/415210/683459/list.html

レスキュージャパン リバーレスキュー講習会


#リバーレスキュー  #洪水

RESCUE JAPANブログ