テラダプターのリコールと安全自主点検のお知らせ

テラダプターにリコールと安全自主点検のお知らせが出ました。

ロット番号が該当する方は対応お願いします。

概論は以下の動画にアップしています。


詳しくはこちらのPDFをご確認ください。

https://www.rescue-japan.com/TerrAdaptorsafetyinspection.pdf

日本語要約(簡潔版)

対象製品

SMC製 TerrAdaptor ポータブルアンカー のうち、
ロット番号11624のハーフプレートが組み込まれているシステム
2023年10月以降に販売されたもの)

概要

お客様のもとに届いたTerrAdaptorシステムにおいて、
ハーフプレートをボルトプレートに固定する内部ネジ3本が欠落している事例が確認されました。
この不具合は初回使用時に発見され、怪我などの事故は発生していません

メーカーの対応姿勢

Harken社は、製品の安全性・信頼性・ユーザーの安心を最優先事項としています。
本件を受け、再発防止のため関連する組立工程の見直しを実施しました。

点検のお願い

今回の事例は単発の可能性が高いと考えられていますが、
ロット番号11624のハーフプレートを使用しているすべてのユーザーに対し、早急な点検を要請しています。

対応内容

点検の結果、内部固定ネジの欠落が確認された場合は、
Harken社のカスタマーサービスが着払い用の配送ラベルを提供します。

その案内に従い、ハーフプレートアセンブリを最寄りのHarken拠点へ返送してください。

返送後、無償で交換用のハーフプレートアセンブリが速やかに提供されます。

お詫びと姿勢

Harken社は、本件によって生じるご不便について謝意を表するとともに、
ユーザーの安全と信頼を最優先事項として対応するとしています。

ASAP(アサップロック)に関する質問と2人用ビレーに対する私見

著者:宇山昭彦



以下のような質問を受けることがあります。


〉ASAPを担架の引き上げ等の時のメインビレイのビレイとして使ってはいけないということを講習の中で聞いたような記憶があります。なぜだったでしょうか?理由を忘れてしまいました理由を教えて下さい。





ダメという意味でなく、担架引き上げや宙づり救助での2人荷重のチームレスキューでは、BCCTRの落下実験を通ったより良いもの。

例えば昔ながらの方法ではタンデムプルージック、540ビレー、MPD、クラッチ、マエストロ等の器具をあらかじめ用意して使用することがより望ましいという意味です。


オンサイトレスキュー、つまり何かのロープ作業等を行ってたときに、トラブルが起きたその場にいる人やまたその装備で即座に行う救助の場合は、現場で使用しているASAPを基本的に用いて救助活動を行うことが基本になります。



但し、今回の講習会で意図している前提条件は、オンサイトレスキューでなく組織的なチームレスキューの基本であり、その意味で、ASAPでなく、BCCTRの落下実験を満たしたプルージック等の器具を用いることがよいと説明しています。



オンサイトレスキューは、チームレスキューとジャンルが少し違うため考え方、用いる道具や救助の仕方が違うと切り分けて考えて頂くとわかりやすくなると思います。

その上で、消防や警察組織のチームレスキューの現場でも限られた人や切迫した状況や何かの理由で応用的に対応せざるを得ないケースでは、オンサイトレスキュー的な対応として、ASAPを用いる選択肢もあり得ます(但しショックアブソーバーは、2人荷重の対応が可能なアサップソーバーアクセスを使用して下さい)。



〉ペツルの取扱説明書を見ると、墜落してアブソーバーが全て伸び切った場合1.6mを要するというようなイラストがありました。

はい、そうです。ショックアブソーバーのメリットは、メインラインにトラブルが発生しビレーラインに大きな衝撃が掛かった場合にショックアブソーバーが伸びて衝撃を吸収してくれることです。

それに対してショックアブソーバーのデメリットは、ショックアブソーバーが伸びることによって、グランドフォール(地面まで伸びて激突してしまうこと)やオーバーハング等の障害物に激突してしまうリスクがあることです。



重要なことは、自由落下距離だけでなく、ロープ、ハーネスの緩み、ショックアブソーバー伸びをも加えたトータルの落下距離を考慮するべきで、この落下距離が大きくなればなるほどグランドフォールや障害物への激突のリスクが高まります。



安全な活動を行う場合には、使用する道具のメリットとデメリットを把握しそしてその潜在的なリスクを認識したうえで、そのリスクが発現しないようにしながら救助活動を行うことが重要だと考えます。

なお今回は、2人荷重での上げ下げを前提とした話しであり、1人で懸垂下降する場合には、ASAPを用いて活動を行います。1人荷重でも伸びリスクがあることに変わりありませんが、2人と1人では発生する衝撃荷重の大きさが違うことが挙げられます。


但し、それよりもそもそも1人荷重には、ASAPを超えるよりよいものがないと言えば語弊がありますが、一般的ではないので、ASAPが用いられています。


レスキュージャパンyoutubeチャンネルでアサップに関する、注意事項等を何点か上げているのでよろしければご覧ください!

●アサップの禁忌事項




●アサップ保持の注意点


スイスチーズモデルと安全管理の考え方 プルージックを契機に

著者:宇山昭彦


2010年頃に、アリゾナでRopes That Rescueのリードさんにロープレスキューの指導を受けているときに、机上講習でのスライドショー解説の合間にリードさんがフォワイトボードにスイスチーズを何枚か重ねたイラストを記載していました。これは、事故発生まで至るプロセスを図示したメタファーです。



その時の私の理解は、穴があると事故につながることを単に図示していているのだな、トムとジェリーの生まれた国でチーズには穴があるからそんなことを言っているのだな。

「フーン」というレベルのものでした。

あれから10数年が経ち、色々な経験やまた安全管理について勉強を重ねると、スイスチーズモデルはリードさんが考え出したものではなく、英国の心理学者であるジェームズ・リーズンがHuman error: models and managementで提唱した、事故やリスクを多層的な防護壁(スライスチーズ)で防ぐことが安全につながるが、但し、その防護壁にはいくつかの弱点(穴)があり、これら防御壁を不幸にもすり抜けたときに、事故が発生するメカニズムをメタファーで説明する安全管理や事故発生のメカニズムの描写であることを理解しました。

最近では、レスキュー3の3日間のコースであるRRO(ロープレスキューオペレーターコース)やレスキュージャパンのオリジナルであるツーテンションシステム講習でこの概念を紹介し参加者の皆様への事故防止や安全管理の一助になるように努めております。

ユーチューブショートで以下の動画を上げていますが、安全管理としてまずはプルージックが固くなるから交換という第一義的な話しとスイスチーズモデルをあてはめた、システムに対する防御壁を如何に張り巡らせるか、また張り巡らせた防御壁にどんな穴が発生しやすくそれをどう防ぐか?など考える機会にしていただければ幸いです。





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